高齢造血器腫瘍患者に対するがんリハビリテーションプログラムの検討
高齢化に伴い65歳以上の高齢がん患者が増大しています。また副作用の少ないお薬の進歩に伴い、今後高齢者の化学療法件数はさらに増加することが予想されます。高齢の患者さんは化学療法による嘔気や倦怠感などから食事量の低下、運動量の低下、臥床(がしょう)などによる体力の低下が起こりがちです。このため化学療法の減弱や中止を必要とし、結果として化学療法の効果が限定的となる方も少なくありません。化学療法により運動機能が低下する前からリハビリテーションを行うことで体力の低下を予防し、適切な化学療法を継続するためのプログラムの構築が必要とされています。本研究では、国立長寿医療研究センターで高齢造血器腫瘍患者さんに実施するリハビリテーションプログラムが、効果的かつ安全に実施するための検証を行います。
本研究では、65歳以上の造血器腫瘍で化学療法を行う患者さんを対象にします。退院後3ヶ月間、化学療法を施行するために来院される際、外来でのリハビリテーションを行います。リハビリテーションでは、下肢の筋力やバランス能力などの身体機能の評価、自宅での運動の実施状況の確認、運動・生活の指導を行います。3ヶ月のリハビリテーションを終了した後、次の3ヶ月間を観察期間として、身体の状態に変化がないかを確認します。リハビリテーションの効果とリハビリテーション終了後も運動機能や精神・心理機能などに変化がないかを検証するために、退院前、退院後3ヶ月・6ヶ月の時点で、運動機能の測定やアンケートのほか、必要に応じた検査を行います。
研究のイメージ図
期待される効果
化学療法を実施する前からリハビリテーションを行うことで、体力の低下が予防でき、より多くの65歳以上の造血器腫瘍患者さんに対し適切な化学療法を実行できる可能性があります。
主任研究者
小原史也(国立長寿医療研究センター 血液内科 医師)
高齢化に伴い、65歳以上の造血器腫瘍患者さんが化学療法を積極的に希望されることが増えてきています。しかしながら治療による倦怠感などで、治療後の生活が困難となる方も少なくありません。治療をやってよかったと思えるよう安全で効果的なリハビリテーションを検討し、より良い医療に貢献したいと考えています。
分担研究者
【国立がん研究センター 中央病院】
- 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科
尾崎修平