6NC連携によるレジストリデータの活用基盤の構築事業
レジストリとは、特定の疾患や健康状態等について、治療内容、治療経過などの医療情報や健康情報を収集するデータベースです。医薬品研究開発に係るコストの低減や期間の短縮を目的として、レジストリデータを二次利用した研究開発のニーズが高まっています。そのため、二次利用する上での研究倫理、レジストリ情報の可視化・リスト化、薬事に求められるデータの品質の確保、そして費用負担のあり方などの課題の整理が求められてきました。また、学会、研究班、そして国立高度専門医療研究センター(NC)などが中心となって構築してきたレジストリが多数存在すると推測されますが、その実態は明確ではなく、全貌の把握と分析が必要になっています。
これまで、AMED研究事業として、クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)武田班(~2018年度)がレジストリデータ利用に関する意識調査や倫理的な課題、利用費用の検討、そして利活用を活性化するための企業や研究者を支援するシステム(中央支援機能)の必要性について提言を行ってきました。中央支援機能整備の一環として、CIN國土班(~2019年度)が国内のレジストリに関する大規模な実態調査を実施し、それを元に検索システムを構築しレジストリの可視化およびリスト化を実現しました。
企業が実際に利活用するに当たっては様々な実務上の支援が必要であり、また新たにレジストリを構築する研究者に対しては将来の利活用を念頭においた技術的支援が重要です。本研究では、参加する6NC(ナショナルセンター)が各々の疾患分野で培ってきたレジストリ構築および運用の経験を元にして、必要とされる「中央支援機能」を充実、整備していきます。
6NC連携によるレジストリデータの活用基盤の構築事業 (外部サイトへリンクします。)
研究のイメージ図
期待される効果
6NCの人材と経験を生かしたレジストリ支援による、レジストリの利活用と医療開発の促進。
主任研究者
杉浦亙(国立国際医療研究センター 臨床研究センター センター長)
本研究の特色は、国立高度専門医療研究センター(NC)およびNC以外のレジストリ実務の支援を行いながら、各NCのレジストリ利活用についての知識と経験の蓄積を図る点です。Good Clinical Practice(GCP:医薬品の臨床試験の実施に関する法令)刷新が進行する中、レジストリの薬事利用は医療開発の効率化において核心的な論点であり、その知見を蓄積することはNCのみならず、日本の医療開発において有益です。
分担研究者
【国立国際医療研究センター】
國土典宏 理事長
・病院
杉山温人、高島響子
・臨床研究センター
泉和生、木村基、三上礼子、大津洋
寺田・平嶋純子、渡部克枝、山本圭一郎
北川明、仲村朋香、土肥亜由美
・国際感染症センター
鈴木久美子
【国立がん研究センター】
・中央病院
沖田南都子
・先端医療開発センター
土原一哉
【国立循環器病研究センター】
・オープンイノベーションセンター
宮本恵宏
・OIC 産学連携本部
大藤康一朗、岩永善高、笹原祐介、中井陸運
【国立精神・神経医療研究センター】
・神経研究所
武田伸一
・トランスレーショナル・メディカルセンター
中村治雅、小居秀紀、大庭真梨、波多野賢二
【国立成育医療研究センター】
・臨床研究センター
小林徹、岡田真実
【国立長寿医療研究センター】
・先端医療開発推進センター
鈴木啓介、木ノ下智康、辻本昌史