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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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サルコペニア・筋ジストロフィーに共通する分子病態の解明

研究概要

超高齢社会を迎えた日本において、加齢による骨格筋量・筋力の低下(サルコペニア)は転倒リスクの増大、社会保障費などの増大を引き起こす医学的・経済的課題となっています。また筋ジストロフィー、特にDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)は成人男児3,500人に1人の割合で発症する遺伝性筋疾患で、骨格筋の壊死・再生が繰り返され、最終的には筋萎縮・脂肪化・線維化が生じる重篤な筋疾患です。 DMDに対する創薬研究は、核酸医薬・遺伝子治療をはじめとして、2000年代に大きな発展がなされました。これは血中マーカーとしてのCreatine kinase(CK)の発見、原因遺伝子・分子としてのジストロフィンの同定、壊死線維の存在といった、基盤となる病態解析が盛んになされたことが背景にあります。一方、サルコペニアの分子病態は多くの部分が未解明です。そのため、エピジェネティックな変化や老化細胞の増加といった、加齢全般に認められる病態に焦点を当てた研究が国内外で展開されています。サルコペニアに対する創薬研究を推し進めるためには、"骨格筋量・筋力の低下を引き起こす原因分子・原因遺伝子"を同定し、その分子病態を解明することが必要不可欠です。

そこで本研究ではサルコペニア・筋ジストロフィーに共通する分子病態である"ミトコンドリア異常"に着目します。老齢マウスや筋ジストロフィーモデル動物を用いてサルコペニア・筋ジストロフィーに共通するミトコンドリア異常という分子病態を解析し、様々な筋疾患において筋量・筋力・ミトコンドリア異常を引き起こす原因分子・分子機序を明らかにすることで、これらの筋疾患に対する創薬研究を進めるために必要な分子病態の解明や技術基盤の構築を目指しています。

研究のイメージ図

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期待される効果

  • サルコペニア・筋ジストロフィーに共通する骨格筋量・筋力の低下、ミトコンドリア異常を引き起こす原因分子の解明
  • サルコペニア・筋ジストロフィーといった筋疾患に対する創薬研究を推し進めるために必要な技術基盤の構築

主任研究者

伊藤尚基(国立長寿医療研究センター 研究所 ジェロサイエンス研究センター 中枢性老化-骨格筋代謝-運動機能制御研究プロジェクトチーム プロジェクトリーダー)

超高齢社会における日本において、サルコペニアは避けて通れない難問となっています。しかし認知症や骨粗鬆症といった他の加齢性疾患と異なり、サルコペニアの分子病態は分かっていない点が非常に多く、基礎研究が必要な分野だと思っています。サルコペニアの分子病態の解明を目指し、最終的には医・食の両面から介入法や治療法開発に繋がる研究をしたいと考えています。

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分担研究者

【国立精神・神経医療研究センター】
神経研究所 遺伝子疾患治療研究部
峰岸かつら