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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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シングルセル空間トランスクリプトーム解析基盤技術の開発およびそれを用いた疾患病態解明

研究概要

てんかんや、がんなどの様々な疾患は、細胞レベル・分子レベルでの病的な変化が複雑に絡み合うことによって起こるとされています。この十数年の間にオミクス解析と呼ばれる、転写産物レベルやタンパクレベルでの遺伝子発現情報やゲノム情報を包括的にかつ大規模に取得し解析する技術が発展したことにより疾患研究は大きく飛躍しました。特に、単一の細胞で発現している全ての遺伝子発現情報を網羅的に取得するシングルセルRNAシーケンスという革新的な技術の登場により、様々な疾患の背景にある細胞レベル・分子レベルでの変化を捉えられるようになってきました。しかしながら、従来のシングルセルRNAシーケンスの手法は、単一細胞レベルでの遺伝子発現変化は捉えられるものの、実験の過程で組織中の細胞をバラバラにする必要があるため、その細胞がもともと組織のどこに存在していたかという空間的な情報を犠牲にする必要がありました。多くの疾患では、健常な組織と病的な組織が同じ組織内に存在していることがあるため、疾患の病態を理解するためには、空間的な情報が欠かすことができません。つまり、従来のオミクス解析手法では大きな技術的な限界が存在していました。2020年代に入り空間トランスクリプトーム技術が開発され、今では空間情報を維持したまま単一細胞レベルの包括的な遺伝子発現情報を取得できる時代になりましたが、世界的にも発展途上の技術であるため、さらなる技術開発が必要とされています。特に、日本国内においては、技術の浸透が未だに限定的なものであるため、ひとつの研究室レベルではなく、大きな枠組みで取り組むべき課題であるといえます。本研究課題では、国立精神・神経医療研究センターを中心として、6NCで団結して単一細胞空間トランスクリプトームとその周辺技術の開発に取り組むことで、解析ノウハウを蓄積します。さらに培ったノウハウを各NCが対象とする疾患に応用することによって、従来の解析では困難であった疾患の病態解明を目指します。疾患研究は世界的に競争の激しい研究領域ですが、本研究活動を通じて6NC間の横の連携をさらに強化することで、世界の疾患研究をリードできる基盤作りに貢献していきます。

研究のイメージ図

研究のイメージ図

期待される効果

  • 6NCで共同利用可能な世界最先端の空間トランスクリプトーム解析基盤の構築と提供
  • マルチモダールなオミクス解析による各NCが対象とする疾患の病態解明
  • 6NCの連携強化による研究力強化と若手の育成

主任研究者

星野幹雄(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部長)

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これまでの多くの研究者の長年にわたる研究にもかかわらず、まだまだ克服できない疾患は多く、なんらかのブレークスルーが待たれていました。本研究では、ブレークスルーとなりうる世界最先端のXenium単一細胞空間トランスクリプトーム解析や、さまざまな単一細胞オミックス解析を行うことによって、多くの難病の病態解明と治療法の開発を目指します。

分担研究者

国立がん研究センター

脳腫瘍連携研究分野
鈴木啓道

国立循環器病研究センター

病院 肺循環科/血管生理学部
中岡良和

国立成育医療研究センター

周産期病態研究部 周産期ゲノミクス研究室
中林一彦

国立国際医療研究センター

糖尿病研究センター 糖尿病情報センター臨床情報研究室
坊内良太郎

国立長寿医療研究センター

神経遺伝学研究部 
飯島浩一