電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業
研究概要
従来の疾病予防研究は、各疾患に特化したエビデンス構築が主流で、我が国の6つの国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター:NC)においても、各専門の疾患を軸として、健常人コホート等を活用した各NC独自のエビデンス構築が進められてきました。しかし、高齢化社会を迎えたわが国にとって、健康寿命延伸のための疾患横断的な予防への取り組みが不可欠となってきています。本研究では、これまでに構築された各NCの研究基盤を相互利用する共同解析基盤による疾患横断的取組や、健康寿命延伸のための提言作成を、より充実させ推進していきます。また、それだけでなく、近年、社会医学・公衆衛生学分野において課題となっている、健康格差や併存疾患による諸問題を疾患ごとに明確にし、より広く社会課題を捉えたエビデンスに基づいて、健康寿命延伸のための提言を発信していくことを目的としています。さらに、バイオマーカーなど客観的指標に基づいた要因や、家族歴やゲノム情報の活用を検討し、個別化予防に資する疾患横断的な研究を推進していきます。
研究のイメージ図
期待される効果
各NCの電子化医療情報を含むコホートデータの相互利活用による新たなエビデンスの創出を行います。
各疾患における健康格差や併存疾患の課題を明確にし、課題解決のための研究を推進します。
バイオマーカーなど客観的指標や、家族歴・ゲノム情報の活用による個別化予防に資する研究を推進します。
2021年に作成した健康寿命延伸の提言(第1次)を基に、以降の課題を加味し、各NCが持つ専門的な知識とエビデンスに基づいた、より定量的な推奨も含む健康寿命延伸の提言(第2次)の作成を行います。
主任研究者
澤田典絵(国立がん研究センター がん対策研究所 コホート研究部長)
この研究は、これまでに構築した、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)で健常人を対象としたコホート研究を実施している研究者の連携体制、疾病横断的な研究実施基盤をより推進するだけにとどまらず、目下の課題である、健康格差や併存疾患の解決のための公衆衛生研究、個別化予防に資する研究を推進し、健康寿命の延伸に資することを目指しています。各ナショナルセンターが専門性を活かして連携することにより、単一疾患予防にとどまらない、疾患横断的予防に向けた研究を推進します。
分担研究者
国立がん研究センター
がん対策研究所
井上真奈美、岩崎基、山地太樹、金原里恵子、梅沢淳
国立循環器病研究センター
健診部
小久保喜弘
国立国際医療研究センター
臨床研究センター疫学・予防研究部
溝上哲也
国立長寿医療研究センター
研究所 老年学・社会科学研究センター
島田裕之、大塚礼
国立成育医療研究センター
社会医学研究部
森崎菜穂
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所行動医学研究部
成田瑞