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国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部

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副腎悪性腫瘍の免疫組織化学による予後・治療バイオマーカー探索

本研究は国立国際医療研究センター(NCGM)、国立がん研究センター中央病院(NCC)、国立成育医療研究センター(NCCHD)で手術を受けた副腎腫瘍の患者さんを対象に、手術で摘出した副腎腫瘍の病理解析を行い、病気と関連のあるバイオマーカー(タンパク質や遺伝子などの生体内の物質で、病状の変化や治療の効果の指標となるもの)の探索を行います。

褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)、副腎皮質がん(ACC)は稀少な副腎悪性腫瘍で、患者は小児から成人まで広く分布します。PPGLの10~30%、ACCの75%の患者さんで腫瘍が転移・再発しますが、PPGLは血液・尿検査・画像検査・病理検査で良性か悪性を区別することが困難で、ACCは病理検査で良性の腺腫と明確な区別ができない場合があります。そのため再発・予後を予測するバイオマーカーの開発が求められています。また、両疾患とも完全切除以外に根治治療がなく、転移が確認されたPPGLの一部およびACCの5年後の生存率は約10%と予後不良です。既存の殺細胞性抗がん剤の効果は限られ、承認薬も少ないことから新規治療の開発も望まれており、新たな治療標的分子を探索することも重要です。

本研究では最初にがんが発生した原発巣または転移巣の標本を利用し、病気と関連する遺伝子変異や臨床免疫学的指標、ホルモン合成酵素の発現を病理学的に調べます。対照として局所限局例、小児発症例、良性副腎腺腫も評価します。近年研究の盛んな両疾患の分子生物学的知見も踏まえて、詳細な臨床情報との関係を解析し、病態把握、予後予測や治療開発に臨床上有用なバイオマーカーを明らかにします。

研究のイメージ

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期待される効果

  • 日本人における褐色細胞腫・パラガングリオーマ、副腎皮質がんの特徴や予後成績が明らかになる。
  • 予後を予測するバイオマーカーを発見することができる。
  • 転移再発の仕組みや、難治症例の病態を明らかにすることができる。
  • 新しい治療薬の医師主導治験を提案することができる。

主任研究者

内原正樹(国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科 医師)uchihara.png

副腎悪性腫瘍は有効な治療法が限られ、患者さんの望むQOLの向上とのギャップに日々頭を悩ませています。希少な内分泌腫瘍の症例が集積するナショナルセンターが力を合わせることで、難治性疾患に苦しむ患者さんにとって役に立つバイオマーカーを探索し、個人に最適化された治療戦略を立てるための種を見つけたいと考えています。

分担研究者

【国立がん研究センター中央病院】
・腫瘍内科
 下井辰徳

【国立成育医療研究センター】
・内分泌代謝科
 上原絵理香