ポリファーマシー対策のための持参薬鑑別評価シート開発に関する研究
本研究は、ポリファーマシー対策のためのチェックシートの開発を目的とした研究です。ポリファーマシーとは、単に服用するくすりの数が多いことではなく、多くのくすりを服用しているために、副作用を起こしたり、きちんとくすりが飲めなくなったりしている状態をいいます。高齢になると、複数の病気を持つ人が増え、75歳以上の高齢者の4割は5種類以上のくすりを使っています。また、高齢者だけではなく小児といった幅広い年代、心不全やうつ病といった特定の疾患においても使用しているくすりが増えると副作用を起こす人が増加するというデータもあります。ポリファーマシーは高齢者の問題として考えられていますが、ポリファーマシーは高齢者に限らず、薬を飲むすべての人が留意すべき課題です。本研究課題では、具体的に6つのナショナルセンターの専門領域である小児・妊婦授乳婦、精神・神経、がん、急性期・感染症、循環器領域疾患の特定の領域での処方薬およびポリファーマシー状態であるかどうかを網羅的に調査し、その結果をもとにポリファーマシーの状態を見つけ出すチェックシートの開発を目指します。本研究を行うことで、各専門領域でのポリファーマシー問題に対する予防的なアプローチを行う際の手助けになると期待されます。また、こうした取り組みを通じて、より多くの患者の薬物療法の安全性に貢献し、薬物有害事象の削減、服薬でのアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)の向上、更には医療費の抑制に貢献できるものと考えます。
研究のイメージ図
期待される効果
- 薬に関する問題点の把握
- 服用薬の適正化(処方数、服用方法、管理方法など)
- 副作用の早期発見
- 医療費の抑制
主任研究者
溝神 文博(国立長寿医療研究センター 薬剤部 薬剤師)
ポリファーマシーは、多剤併用の中でも薬による害が発生した状態を指します。ポリファーマシー状態は、高齢者が最も多く、複数の疾患や薬の副作用に対する薬の追加といった様々な状態で起こります。そのため、問題を正確に把握することが大切です。この研究を通じてポリファーマシーの問題を正確に把握できる方法の確立を目指したいと思います。
分担研究者
【国立成育医療研究センター】
・薬剤部
石井真理子
【国立国際医療研究センター】
・薬剤部
瀬戸恵介
【国立精神・神経医療研究センター】
・薬剤部
白井毅
【国立がん研究センター中央病院】
・薬剤部
渡部大介
【国立循環器病研究センター】
・薬剤部
生駒歌織